借地非訟とは?
借地非訟制度について説明します。
目次
借地非訟とは
借地非訟とは
借地権の売却(譲渡)の際には、必ず地主の承諾が必要となります。
但し、地主が譲渡承諾を認めないケースも少なくありません。
しかしそれでは、買い手も見つかって、いざ売却(譲渡)というときに借地権者様は大変困ってしまいます。
正当な理由があるにもかかわらず、譲渡承諾を得られない場合には、
「借地非訟(制度)」
を利用することが出来るのです。
借地非訟制度とは、一言でいうと
「承諾をしてくれない地主に対して、裁判で正当事由を明らかにし法の下で承諾を得る」
という制度が借地非訟です。
裁判所は、借地権の譲渡先が地主にとって不利益がないか、譲渡に関して正当な事由があるかなどを調査します。
その結果、裁判所にて認められれば、地主に代わって売買契約の許可を出してくれるのです。
ただし、裁判に持ち込む、ということですから地主との紛争状態なり、結果的には関係が悪化する事にもつながります。
まさに、借地権者様にとって借地非訟は「最後の手段」といえる制度でしょう。
借地非訟とについてと、なぜそうなるのかを地主視点で解説しているため、非常にわかりやすいです。
裁判所が解説!
裁判所
借地非訟事件の種類
借地非訟事件として取り扱うことができる事件は,次の5種類です。
(1) 借地条件変更申立事件(借地借家法17条1項)
借地契約には,借地上に建築できる建物の種類(居宅・店舗・共同住宅など)・建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)・建物の規模(床面積・階数・高さなど)・建物の用途(自己使用・賃貸用・事業用など)等を制限している例が多く見られます(よくあるのは「借地上の建物は,非堅固建物に限る」といったもので,このような制限を借地条件といいます。)。
借地権者が,これらの借地条件を変更して,別の構造等の建物に新しく建て替えたい場合,たとえば,「木造建物」(非堅固建物)を「ビル」などの鉄筋コンクリート造の建物(堅固建物)に建て替えたい場合には,土地所有者との間で借地条件を変更する旨の合意をすることが必要になりますが,土地所有者との間で合意をすることができないことがあります。
このようなとき,借地権者は,借地条件変更の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,借地契約の借地条件を変更する裁判を受けることができます。
なお,東京地裁の借地非訟係では,借地契約において,地上の建物の建替え(改築)・増築・大修繕等をするには土地所有者の承諾が必要である旨の定めがある場合に,適法に借地条件の変更を必要とする増改築をしようとするときは,借地条件変更の申立てとともに,後記(2)の増改築許可の申立てをしていただく扱いをすることになりました。詳しくはQ&A(PDF:265KB)をご覧下さい。
(2) 増改築許可申立事件(借地借家法17条2項)
借地契約には,借地上の建物の建替え(改築)・増築・大修繕等をする場合には土地所有者の承諾が必要であると定めている例が多く見られます。このような場合,借地権者は,土地所有者の承諾を得る必要がありますが,土地所有者の承諾を得られないことがあります。
このようなとき,借地権者は,増改築許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。
(3) 土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件(借地借家法19条1項)
借地契約が土地の賃貸借契約の場合,借地権者が借地上の建物を譲渡するときは,(これに伴って土地の賃借権も移転することになるため)土地所有者の承諾を得る必要がありますが(民法612条),土地所有者の承諾を得られないことがあります。
このようなとき,借地権者は,土地の賃借権譲渡許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。
(4) 競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件(借地借家法20条1項)
借地契約が土地賃貸借契約の場合,競売又は公売で借地上の建物を買い受けた人は,(これに伴って土地の賃借権も譲り受けることになるため)土地の賃借権の譲受けについて土地所有者の承諾を得る必要がありますが(民法612条),土地所有者の承諾を得られないことがあります。
このようなとき,借地上の建物を買い受けた人は,競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。
この申立ては,建物の代金を支払った後2か月以内にしなければならないので,ご注意ください(借地借家法20条3項)
(5) 借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受申立事件(借地借家法19条3項,20条2項)
上記の(3)(土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件)及び(4)(競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件)の場合,土地所有者には自ら土地の賃借権を借地上の建物と一緒に優先的に買い取ることができる権利(「介入権」といわれています。)が与えられています。
土地所有者は,裁判所が定めた期間内に限り,介入権を行使する申立てをすることができます。
裁判所が定めた期間内に介入権行使の申立てがありますと,原則として,土地所有者が借地権者の建物及び土地の賃借権を裁判所が定めた価格で買い受けることになります。
裁判所が実際の事件について解説しております!
借地非訟手続きに関して!
矢崎不動産オフィス
借地非訟手続きは、借地借家法・借地非訟事件手続規則に規定された手続きです。
なお、『借地非訟事件』としては、下記のような種類があります。
1.借地条件変更申立
借地契約では、借地上に建築することができる建物用途(居住用・事業用等)や建物構造(堅固・非堅固or木造、鉄骨造等)等に制限を設けている場合があります。 この様な場合、借地権者が条件変更を希望する際には契約条件の変更を土地所有者と合意する必要があります。しかしながら、土地所有者が条件変更に応じない場合、借地権者は借地条件変更の申立をして裁判所が相当と認めれば借地条件変更の裁判を受けることができます。
■木造建物(非堅固建物)を鉄筋コンクリート造建物(堅固建物)に、建替えたいので条件を変更したい場合など。
■「居住用」建物の所有を目的として土地を借りているが、「事業用」建物に利用用途を変更したい場合など。
2.増改築許可申立
借地契約では、借地上に建築を増改築(大規模修繕・増築・建替え等)する際には土地所有者の「承諾」が必要であると定められているケースが多くあります。 その際、増改築に関して土地所有者から承諾を得られない場合、借地人は裁判所に対し、裁判所が相当と認めれば「土地所有者の承諾に代わる増改築の許可」の裁判を受けることができます。
■建物を大幅改修したいが、改修工事に関して、土地所有者の承諾が得られない場合。
■建物を建替えしたいが、土地所有者の承諾が得られない場合。(若しくは、建替承諾料に関して、合意ができない場合等。)
3.賃借権譲渡・土地転貸許可申立
借地権者は、借地上建物を第三者へ譲渡(売却)する事ができますが、その際には土地所有者の承諾が必要になります。(民法612条)その際、土地所有者から承諾を得られない場合、裁判所が相当と認めれば、土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。
■借地上建物(借地権)を売却したいが、土地所有者に承諾してもらえない場合等。
※なお、上記に関わらず土地所有者は第三者に優先して上記借地上建物(借地権)を裁判所が決めた価格にて買取る事ができます。これを介入権と呼びます。
4.競(公)売に伴う土地賃借権譲渡許可申立
裁判所の競売(もしくは行政庁の公売)にて、借地権建物を買い受けた人は、土地所有者と「土地賃貸借契約」を締結する必要があります。 しかしながら、土地所有者が契約締結に同意しない場合、買い受けた人は裁判所に賃借権譲受許可の申立をし、裁判所が相当と認めれば土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。
■競売にて借地権付建物を購入したが、土地所有者が「土地賃貸借契約」に応じてくれない場合等。
※なお、上記に関わらず、土地所有者は第三者に優先して上記借地上建物(借地権)を裁判所が決めた価格にて買取る事ができます。これは、上記「賃借権譲渡・土地転貸許可申立」と同じです。
借地借家法・借地非訟事件手続規則に規定されている借地非訟手続きについて解説しています。
弁護士が回答!
みずほ中央法律事務所
借地上の建物の増改築や再築は,地主の承諾がないと,状況によっては解除されることがあります。
また,借地上の建物の譲渡は借地権譲渡となり,地主の承諾が必要です。
一方,地主が承諾しない限り借地人が建物の増改築,再築や譲渡をすることができないというのも不合理です。
そこで,地主の承諾の代わりに裁判所が許可する制度があります。
借地非訟手続と呼びます。
借地の開始時期によって借地非訟について適用されるルールが異なります。
本記事では,借地非訟全体について,適用されるルールの振り分けを説明します。
また,それぞれについての承諾料の相場があります。
承諾料の目安も合わせてまとめます。
不動産外車とは違い弁護士観点で、手続きや、種類について解説しています。