借地の返還について
引っ越しなどにより、借地権を返還する場合についての記事をまとめました。
目次
土地の返還のため、地主さんへ借地権を買い取ってもらえるか相談
底地.com
60年以上借りている土地に建物を建てて住んでいましたが、事情があり家を引っ越すことになり、土地を返還しようと地主さんへ借地権を買い取ってもらえるか相談したところ、敷地85坪(埼玉県私鉄駅より徒歩15分の住宅街)の借地権料がなんと400万円(木造2階の取り壊し含め)取り壊して返すと手取り250万円くらいしか残りません。
もう少し何とかならないでしょうか。
この辺の地価は坪50万円くらいすると思います。
宜しくお願い致します。
実際に引っ越しをする際に地主さんとの相談した人の事例になっています。
専門家がわかりやすく回答しています!
いらなくなった借地権は返還するかor譲渡するか?
平間法律事務所
借りている土地が要らなくなったらどうしますか?
以下では、借りている土地の処分方法について説明します。
地主に借地権を返還する(無償)
まず思いつくのが、地主に借地権を返還するという方法です。
しかし、タダで借地権を返還してしまうのはもったいないです。借地権は土地の価格の3割から9割程度の価値があるからです。1億の土地ならば、3000万円から9000万円をタダで手放すようなものです。
地主に借地権を返還する(有償)
では、地主に借地権を返還する際に、借地権の代金を支払ってもらうという方法はどうでしょうか。たしかに、地主が借地権相当額を支払ってくれるというのであれば、損はしません。
しかし、返還の際に地主が借地権相当額を支払ってくれる場合ばかりではありません。それはなぜでしょうか?典型的には以下の2つの理由が考えられます。
・地主がお金を持っていない
・地主が足元を見てくる
借地権は高額です。1億の土地だったとして、3000万円から9000万円をすぐに用意できる地主ばかりではありません。
また、借地権の返還を急いでいる場合には、地主に足下を見られてしまうことがあります。急いでいるのだから、本当は8000万円の借地権も6000万円にまけられるだろうと思われてしまうのです。
第三者に借地権を譲渡する
では、借地権を第三者に売るという方法はどうでしょうか。この方法だと、地主がお金を持っているか否かに関係なく、適正な価格で借地権を売ることができます。
しかし、地主が譲渡を承諾してくれない場合が複雑になります。承諾なしで譲渡してしまうと、借地契約が解除されて借地権が消滅してしまうこともあるからです。
地主が譲渡を承諾してくれない場合には、地主との交渉になります。一定の承諾料を支払うと承諾してくれる地主もいます。また、交渉が難しい場合も、裁判所で借地非訟という手続きをすることによって、裁判所が地主の代わりに承諾をしてくれる場合があります。
交渉にしても、借地非訟にしても、いかに人を説得できるかにかかっています。経験豊富な弁護士にご相談されることをおすすめします。
等価交換をしてから第三者に土地を譲渡する
この方法はいわば「地主に借地権を返還する(有償)」と「第三者に借地権を譲渡する」の複合技のようなものです。地主との交渉が得意で、不動産の販路も知っている弁護士にご相談されることをおすすめします。
平間法律事務所ではこれまで多くの借地権の取引交渉を承ってまいりました。長年のノウハウと実績から、お客様の最も利益となるような取引を実現致します。お困りの際は平間法律事務所までご連絡下さい。
引っ越しや相続などによっていらなくなった、借地権を売却したほうがいいか、譲渡したほうがいいかケースに分けて解説しています。また関連する転賃借などの記事も豊富にあります。
借地権を返還する場合、更地にする必要があるのか?
センチュリー21
借地権契約が終了した場合には、借地権者は土地を更地にし、返還する義務がありますが、借地権者には建物買取請求権(借地借家法13条1項)と言う権利もあります。
借地借家法13条1項:「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。」とあります。
返還の際に更地にするか、買い取ってもらうかについて解説しています。
図説入りなので分かりやすいです。
借地を無償で返還した場合
国税庁
【照会要旨】
A社はBの所有する土地を20年前から賃借し、その土地に木造の営業所を建設し業務を継続してきました。当初契約における借地期間は10年間ですが、更新されています(権利金及び更新料の授受はありません。)。
本年6月、A社は、建物の老朽化等によりその建物で営業することができなくなったため、新たに営業所を賃借することとして当該契約を解除しました。契約の解除に当たって、A社がBに土地を無償で返還した場合、Bの課税関係はどのようになりますか。
(注)
1 土地賃貸借契約を基とする土地賃貸借料改定契約において、契約の解除に当たっては、「賃借人において、他の場所に新営業所の建設を完了した場合、賃借人は業務開始前6か月の予告をもって本契約を解約することを得る」とされています。
2 現在Bの所有する土地のある地域においても土地の賃借に当たっては、権利金を授受する取引上の慣行があります。
【回答要旨】
立退料等の金銭の授受がない場合であっても、契約の解除条項に従って解除するものであることから、賃借人及び賃貸人のいずれも、課税関係は生じません。
(注) 建物の老朽化により借地権が消滅する場合、法人税の取扱いにおいては無償返還が認められています(法人税基本通達13-1-14(3))。
借地を無償で返還した場合にかかる税金について国税庁が回答しているものです。
税務調査における、借地権の無償返還の税務調査ポイント
鈴木宏昌税理士事務所
借地権の無償返還の税務調査ポイント
借地人は、その借地の上に保有する建物等を他に譲渡する場合には、借地権付きで譲渡しますので、借地権の価額に相当する金額を含めて譲渡の対価として収受するのは当然ですし、土地所有者の都合で契約期間の途中に借地を明け渡すような場合は、その借地権の価額に相当する立退料を要求するのが通常です。
そこで、借地権の譲渡や借地の返還に際して、借地権の価額に相当する金額を譲渡の対価や立退料として授受するのが一般に正常な取引条件とされるのに、借地人である法人がその全部又は一部の金額を収受しなかった場合は、正常な取引条件に反するものとされ、原則としてその収受しなかった金額は土地所有法人にその収受しなかった部分を贈与したものと取り扱われます。
無償での借地権の譲渡や返還であっても、無償であることに合理的な理由があれば税務上も認められます。
借地人である法人が、借地の返還に際し合理的な理由もなく本来収受すべき立退料を収受しなかった場合は、原則としてそれに相当する金額は土地所有法人に贈与したものとされ、借地人に立退料の認定課税が行われますが、このことと土地所有法人に対しても受贈益課税を行うのかどうかは別の問題です。
土地所有法人にとってみれば貸地が戻ってきただけですので、借地権設定等の際に土地の帳簿価額の一部を減額して損金算入した金額があるときは、これを元の帳簿価額に復元しなければいけませんし、支払った立退料等があれば土地復元のための資本的支出とみて、これを土地の帳簿価額に加算しなければいけません。
税務調査における、借地権の無償返還の税務調査ポイントについて解説いたします。
どういった点で調査が行割れているか、税理士さんの観点で解説しています!