よく聞く取得費について解説します!
借地権の買取などの際に、まつわる語句として「取得費」というものがあります。
そもそもなぜ取得費が必要なのかについて解説いたします。
不動産取得税という税金があり、こちらは不動産を取得した際に一度かかかる税金になります。
こちらの計算をする際に取得費が重要になってくるのです。
何を計上していいのか、問題点は?などいろいろ気になることが多いかと思います。
是非ご一読ください。
目次
借地権の取得費の概念について!
国税庁
[平成29年4月1日現在法令等]
借地権の取得価額には、次のような金額が含まれます。
(1) 借地契約に当たって、土地所有者に支払った借地権の対価の額
(2) 借地契約に当たって、支払った手数料などの費用の額
(3) 賃借した土地を改良するために行った地盛り、地ならし、埋立てなどの整地費用の額
(4) 建物などを増築や改築するに当たって、その土地の所有者に支払った費用の額
(5) 土地の上にある建物などを取得した場合に、その建物などの買入価額のうちに借地権の対価が含まれているときのその金額
ただし、その金額が建物などの買入価額のおおむね10%以下であるときは、建物などの取得価額に含めることができます。
(6) 借地権付きの建物を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に建物の取壊しに着手するなど、当初から建物を取り壊して借地権を利用する目的であることが明らかなときの建物の帳簿価額や取壊費用の額
こちらは国税庁が法令により発表しているものになります。
借地の代金はもちろんのことですが、契約にかかった手数料や、土地の整地や、建物の増改築のための費用などが含まれます。
こちらは必ず読んでおいた方がいいでしょう!
借地権を譲渡した場合の取得費は?
幻冬舎ゴールドオンライン
借地権を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上控除される取得費の額は、土地の賃貸借契約(その土地の賃貸借契約または転貸借契約、およびこれらの契約の更新を含む)をする際に、借地権の対価として土地所有者または借地権者に支払った金額のほか、次に掲げる金額を含みます。
①土地の上にある建物等を取得した場合に、その建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額。ただし、その金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで、その全額をその建物等の取得費に含めることができます。
②賃借した土地の改良のために行った地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用
③借地契約にあたり支出した手数料その他の費用
④建物等を増改築するにあたり、その土地の所有者または借地者に対し支出した費用
●土地の取得にあたり支出した違約金
いったん固定資産等の購入契約を締結し、手付金を支払っていたものを、他に有利な条件による固定資産等があったため、前の購入契約を解約したために没収されることとなった手付金(解約違約金)は、その取得した固定資産の取得費に算入されます。
しかし、その解約違約金をその年の各種所得金額の計算上必要経費として算入することもできます。
こちらは譲渡所得にかかる取得費について解説しています。
是非参考にしてください。
借地権又は底地買取り後の土地譲渡について ~個人編
参考:全日本不動産協会
●質問
土地所有者が借地権を買い取った後、又は借地権者が底地を買い取った後に土地を譲渡した場合の課税関係を教えてください。
●回答
土地所有者(地主)が借地権を買い戻した場合、又は借地権者(借地人)が底地を取得した場合には、賃貸人(債権者)と賃借者(債務者)とが民法520条の混同により消滅します。したがって、土地所有者又は借地権者は、土地の全部(完全な所有権)を取得したことになります。
このようにして借地権又は底地を取得した後、土地を譲渡した場合の、土地の取得日、譲渡収入金額及び取得費について説明しましょう。
底地の取得日と借地権の取得日とは区分して、取得日を各別に判定します。すなわち、底地部分はその土地の取得日に、借地権部分は、立退料を支払って借地権を取得した日となります。
譲渡した土地のうちに短期所有土地(譲渡した年の1月1日における所有期間5年以下)と長期保有土地(譲渡した年の1月1日における所有期間5年超)とがある場合、それぞれの譲渡収入金額は、譲渡資産の収入金額合計額を譲渡資産の譲渡時の価額比(時価)により按分します。
譲渡資産に係る譲渡費用で個々の譲渡資産との対応関係が明らかでないものは、それぞれの譲渡資産の収入金額の比で按分することになります。
譲渡した土地は大きく分けて以下の2つに分類されます。
①短期所有土地 ・・・不動産の所有期間が5年以下の場合
②長期保有土地 ・・・不動産の所有期間が5年以上の場合
この2つは税率が異なっているため、別の計算が必要になってきます。
そのため分類されています。
税率は計算方法が載っているので是非、読んでみてください。
取得費が不明な場合に概算取得費を使わない方法!
横浜の税理士中山のCoffee Break
個人が不動産を売却する際に、その不動産を購入した時の価格がわからないことがあります。こういったケースでは、概算取得費といって売却価額の5%を取得費とする方法が使われていますが、この方法だと売却価額の約95%に税金がかかります。
ところが、概算取得費を使わずに合理的に購入時の時価相当額を推定できる方法があったのです。
ポイントは以下の2点です。
・土地の取得価額は、市街地価格指数から算定する。
・建物の取得価額は、着工建築物構造別単価から算定する。
H20年9月に2000万円で譲渡した土地(住宅地)を平成7年3月に購入しているのであれば、次の算式のように29,232,558円が当時の時価であったと推計できるというのです。
20,000,000円×125.7/86.0=29,232,558円
平成7年くらいならば、契約書がなくても通帳の出金記録、住宅ローンの金銭消費貸借契約書や償還表など何か取得価額を証明できる書類を集めることができそうですが、昭和47年だと土地を購入した価格を証明できる書類が何もなくて諦めてしまうかもしれません。しかし、市街地価格指数を使って計算すると6,186,046円にもなります。
20,000,000円×26.6/86.0=6,186,046円
この市街地価格指数を使う方法は税務署が更生処分をした際に採用した方法で、それを国税不服審判所が「合理性がある」と判断しています。
また、住宅ローンを組んでいれば登記簿謄本(全部事項証明書)の乙欄で抵当権の設定金額はわかりますから、安易に5%は使ってはいけないですね。
この市街地価格指数を見ると、バブルの頃の地価がいかに高かったか、そしてやっと底打ちした地価がまた下がってきていることもわかります。
こちらは個人ブログですが、概算取得費を使わないで取得費を計算する方法について解説しています。
なかなか初心者の方は難しいかもしれませんが読んでみることを推奨いします。
理解できなくても、このような算出方法があると知っておくだけでもプラスになります。